| 日本の良いもの・美しいもの | ||
![]() ◆この文章は、「ラシサ」2000年12・1月合併号に掲載されたものです。 |
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| 師走・睦月 (十二月・一月) 日本の色と模様 文・HANA
■トキって何色? 今年(1999年)の春、佐渡で待望のトキの雛が誕生して話題になりましたが、日本に古くからある色の名前に、「トキイロ」というのがあるのをご存知でしょうか?また、それはどんな色だかわかりますか? トキの全身の羽は白っぽい色ですが、風切羽や尾羽は薄桃色をしています。実はこの風切羽の色を鴇色(朱鷺色)というのです。 一見白く見えるトキが、羽を広げたときに見せる色の美しさにハッとして、昔の人はそれを鴇色と呼んだのでしょう。 このように日本人は昔から、草花や鳥などの自然の風物になぞらえて、色の微妙な違いを表現してきました。 日本人でも外国人でも、人間の目が識別できる色の種類に変わりはなく、色そのものに「日本にしかない色」がある訳ではないのでしょうが、「日本の伝統色」と言われる日本固有の色名によって表される色は、なんともいえず微妙で、日本人の色に対する関心の深さや独特の美意識というものを感じずにいられません。 ■百種類の鼠色 たとえば、江戸時代に茶色や鼠色が流行し「四十八茶百鼠」といわれるほど、たくさんの種類の色があったそうです。 茶色では、葡萄茶、焦茶、柿茶、江戸茶、丁子茶、唐茶、金茶、桑茶、媚茶、鴬茶、鶸茶、納戸茶など。鼠色では、銀鼠、梅鼠、葡萄鼠、茶鼠、深川鼠、利休鼠、藍鼠、錆鼠、濃鼠、薄鼠、灰色、灰赤などなど。 赤や青のようなきれいな色に、名前のバリエーションがあるというのはわかる気がしますが、茶色や鼠色という地味な色に、これほどまでにこだわるというのが、なんだか面白いなと思います。 色のバリエーションが多いというのは、染料に天然のものを使っていたということにも関係しています。化学染料と違い、動植物や鉱物性の天然染料では、思い通りの色を作り出すのが難しく、同じ染料を用いても染め方の違いによって色にも微妙な違いが生まれます。 もっとも代表的な染料といえば、「藍」ですが、藍をつかって染めた色は、「藍色」だけでなく、染める回数によって変わってくる色の違いによって、それぞれ違う色名がつけられています。 薄い色から順番に、甕覗、浅葱、縹、藍、紺。甕覗というのは、「藍甕を覗いた時に顔に藍の色が映る、その位のごく薄い色」という意味だと聞きました。凝ったネーミングですよね。 ■「雪持ちの松」とは? 色と同じく文様にも、古くからある伝統的なきまり文様というものがあります。七宝・麻の葉・青海波・立涌・鱗・紗綾型・熨斗・網目・市松・流水・松皮菱・鹿の子…。「着物なんか着ない、古臭いものには興味が無い」という人でも「見たことある。へえ、これはこういう名前だったんだ」と思うものがあると思います。逆に「名前は聞いたことがあったけど、どんな文様か知らなかった」というものもあるかもしれません。 やはり自然の動植物に関するものが多く、日本人が四季折々の自然の変化をいかに愛して楽しんできたかということがわかります。 たとえば冬に用いる文様に、「雪持ち松」とか「雪持ち笹」などというものがあります。「雪持ち」というのはその植物に雪が積もっている様をあらわしているのです。 ■真似したい「遊び心」 「冬に用いる文様」と書きましたが、和服を着るときには様々なきまりごとがあって、そのひとつに、「その季節の植物などを描いた柄はその季節にしか着ない」というのがあるのです。(例外として一年中着て良い柄もある。たとえば梅、竹、菊、欄を組み合わせた四君子模様など。)春は桜、蝶、藤、霞。夏は千鳥、荒磯、魚、水に関係するもの。秋は薄、紅葉、萩、菊。冬は枯山水、雪輪、雪持ちの竹や松など。 これを「面倒なルール」「窮屈なしきたり」と言ってしまえばそれまでですが、自然の色や形を衣類や調度に取り入れるだけでなく、それを季節の移り変わりに合わせ、調和させながら楽しむという、日本人らしい「遊び心」と理解すれば、見習ってみたい気持ちも湧いてきます。 ■気軽に楽しめる色と文様 では、伝統色や伝統文様を自分の身の回りに取り入れるとしたら、どうしたらよいでしょうか。まず思い浮かぶのは着物ですが、着物が好きで着付を習ったことがあるという人でも、実際に着物を着る機会はなかなかないと思います。 もっと手軽に、誰にでも、素敵な色や模様を楽しめる方法として、「てぬぐい」をおすすめします。てぬぐいの専門店もありますし、デパートや雑貨屋さんなどでも豊富に種類を揃えているところがあります。値段は一枚八百円前後といったところでしょうか。 最近はかわいいキャラクターなど描いたものもありますが、ここはひとつ、伝統色、伝統文様にこだわり、季節感にも配慮しつつ選んでみたいものです。 ランチョンマットにする、縫って小物をつくる、アイデア次第で利用方法はいろいろあると思いますが、私はそのまんまの形で食器を拭くのに使っています。色や文様を楽しめるのはもちろんですが、吸水性がとてもよく、薄手なので渇きが早く、なかなか使い心地がよいのです。ぜひ一度試してみてください。 |
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