毎日がお遍路

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2004年 HANAの「歩き遍路日記」  − 4日目

11月22日(月)
04:30  起床
07:30 チェックアウト
朝食 ホテルのカフェでモーニング。久々の洋食。スープ、トースト、サラダ、ヨーグルト、コーヒー、みかんもついて450円。

コーヒーは四国入り後、初。ふだんはコーヒーとビールなしには生きられないくらいだけど、前2日は簡単にそれらを入手できる状況でなかったのもあるし、そんなに飲みたいと思わなかった。昨夜もビールを買ってみたものの、『これを飲んだら、あと何もできなくなる』と理性が働き、やるべきことを片付けるまで飲まなかった。それで、飲んでもあんまりいい気分にならなかった。

(歩くことでナチュラルハイになってるから、カフェインやアルコールで無理やり精神をコントロールする必要がないんでしょうな。)

今日は高知市内のビジネスホテルに泊まる予定。どんどん都会になっていく。このあたりも、室戸の方なんかと比べればずっと都会だから、今日は歩いても地元の人とのふれあいはできないかもしれないな、と、ちょっと淋しく思う。

そもそも私は「人と触れ合いたい」なんていうことを期待して四国にきたわけではない(むしろ性格上、人に対しては常に逃げ腰)。ただ、札所を回りたかった、歩きたかっただけだ。でも、四国に来てから、毎日必ず何人もの印象的な人との出会いがあって、結局それが旅の重要な部分だとわかってきたら、いつのまにか「今日はどんな人に会えるかな」と期待するようになっていたみたい。

08:00 出発 天気予報では高知の予想最高気温20℃。でも朝は、白衣のうえにウインドブレーカーでもちょっと寒いくらい。髪もまとめると襟足がスースーするので朝はおろしたまま。歩き始め、体があたたまるまでは、手袋までする。

ビジネスホテルは駅前で、今日は平日なので、通勤通学のたくさんの人とすれ違いながら、昨日の夕方渡ってきた大きな橋のところまで戻る。

そこから、田んぼの中の「へんろ道」へ入る。朝の新鮮な空気が身体に染み込む感じ。大地の気を充電しているよう。農道のような細い道、ときどき車が通る以外は前も後ろも見渡す限り誰もいない。

さっそく道端で荷物をおろして休憩。髪をまとめて、また歩き出す。

そのうち背後に人の気配。足の速い歩き遍路さんが追い抜いていくのかな、と思って挨拶しようとすると、なんと、おととい会った赤リュックの人だった。

私は27番から28番の間の40kmを列車(乗車時間約45分間)でパスしたのに、そこも全部歩いたこの人に追いつかれてしまった!昨日は一日で40km以上あるいたそうだ。すごいなあ。でも、本当はこのくらい歩くのが普通なんだろうなあ。

また一緒に歩き始めたけど、私がペースダウンするのは申し訳ないので、「先に行ってね」というと「今日はどうせもう当初の予定より遅れてしまっているし、そんなに急いでもしょうがないし」といって、結局は夕方まで一緒に歩いた。

歩きのペースそのものはそれほど私が遅いというわけではないみたい。ただ私の場合、しょっちゅう休憩する。景色のいいところがあれば止って眺めたり、写真を撮ったり。札所でものんびりしすぎるから時間がかかってしまうんだ。


10:30 29番 国分寺の私
四国にきてから、最初の頃に考えていた予定では、27番から28番の40kmを電車でパスしたにしても、後半は疲れて足も痛くなってくるだろうから1日20kmは歩けないだろう。後半は10km〜15kmも歩ければそれでよしとしよう、というものだった。どうせそもそも、来る前に考えていた全部歩きの日程では28番までしか歩けない、うまくいっても30番までだろうと思い込んでいたので、地図もその辺までの分しか持ってこなかった(一冊持つと重いので、必要部分だけ切り取ってきた。ガイドブックも)。

32番から先はどうなっているのか、札所と札所の間がどのくらいあるのか、どういう位置関係なのか、全くわからないので、計画の立てようがなく(あとから思えば調べる手段などいくらでもあったのだが)、昨夜はもう、「22日に29番と30番、23日に31番と32番をまわる。それだと時間がだいぶあまってしまうと思うけど、高知市内で観光モードに切り替えて、お土産を探したり、最後は少しゼイタクに美味しいもの食べたりなんかすればいい。」なんていう、超甘甘の魂胆だった。

でも、赤リュックの彼に会って、そのペースで歩いていると今日中に31番は軽く行けてしまいそう。ガイドブックを見せてもらうと、33番も34番もそれぞれ7km前後で近いので、がんばれば今回33番か34番まで回れてしまうかも、と、欲がでてくる。

『いくら無理するなといったって、あまりにものんびりしすぎだ。もっと頑張って歩きなさい。』というお大師様の思し召しかもと思う。
15:40 31番・
竹林寺


31番・竹林寺 五重塔

そして31番・竹林寺に到着。
このお寺は札所としてよりも「五台山」として有名な観光地らしい。四国の札所というよりは京都のお寺みたいな雰囲気。ちょっと紅葉もしてて、とてもいい感じなので、うれしくなって舞い上がり、鐘をついてるところを写真に撮ってもらったりなんかして暢気にしていたが、あとで考えてみれば、私は今日このあと宿へ入るだけだけど、彼は今日中に32番(6km先)へも行ので、こんなにのんびりしている場合じゃなかったのだ。

お参りしてから別れたけど、本当は、ここに着いた時点で別れて別行動にすれば、何十分か早くいけただろうに。彼は32番に間に合ったのだろうか。(納経所は5時で終わってしまうので、その日のうちに納経できないと、翌日の予定に大きく影響する)いくらなんでも無理だったんじゃなかなあ。悪いことをした、と反省しきり。(#あとできいたら、行けたそうです。すごい!)
私にしても、一人だったら、ここのお寺ではもっと、まったりしていたかったなあ。ま、しょうがない。

さて、一人になって、そこからがまたちょっと大変だった。納経所のおばさんに教えてもらったところによると、最寄バス停からのバスは本数が少ないので、そこで待っているよりは、その先の、もう少し本数の多いバス停の方まで行って時間をみて、そこでも来ないようなら、電車の駅まで歩いてしまったほうが早いとのこと。

それで、結局、路面電車の駅まで2kmくらい歩いた。地図を見ながら、途中2回も道をきいたのに、たどりついたのはなぜか、自分が目指していた駅ではなく隣の駅だった。・・・私って、、、とほほ。

路面電車の乗り方がよくわからないし、どっち方向が高知駅にいくのかわからないので、信号待ちをしてた、ちょっと怖そうなおにいさんに恐る恐る「高知駅に行くにはこっち側でいいですか」と聞くと、おにいさんもそこから乗るようで、一緒にホームまで行って、乗り換えのしかたまで教えてくれた。(高知駅に行くには「はりまや橋」で乗り換える。)優しいなあ。(見かけで判断してはいけませんネ;)

17:30 チェックイン
高知駅前
ビジネスホテル
今日のホテルも綺麗で、従業員の人もみんな感じがとてもよくて快適。値段は昨日のところよりも安い(4500円)けど、部屋にドライヤーがついてて、インスタントコーヒーやゆずの香りの入浴剤までついてて、ありがたい。
やっぱ私、バックパッカーにはなれないわ。

今日も、すぐに風呂にははいらず(入ると出かけるのが億劫になるので)、明日の段取りを考える。33番か34番まで歩くのはいいとして、そこから高知市内に戻ってくる交通手段がわからない。

明日の朝は、今日最後の竹林寺に戻り、そこからスタートするので、竹林寺へのバスの時間も調べなきゃ。

今日はほとんど休まず歩きつづけていたので、ふくらはぎがパンパン。今日は洗濯はしなくていいかと思ったけど、毎日着ている白衣が、いいかげん汗臭くてたまらないので思い切って洗う。


エアコンの下につるして乾かす
その後、駅のほうにでかけてバスのことを調べたり、お土産の下見をしたり、コンビニ(高知にきてはじめてコンビニに入った)で、お弁当(かつおめしと野菜の和え物)、明日の非常食(明日も昼食にありつくのがむつかしそうなので、カロリーメイトとチョコとアーモンド)を買い、ホテルのフロントでガイドブックを借り、ずうずうしく地図をコピーさせてもらい、ハガキを書いたりなどしていたら、12時近くなってしまった。

朝「今日は誰にも会わないかも」なんて危惧していたけど、結局、一日道連れと歩くという経験をした。途中地元の人に道を聞いたり、声をかけられたりもしたけれども、同行者がいると、そういう時の印象は薄くなってしまうし、一人で歩いているほうが声をかけられやすいような気もする。

一人で歩くのは、何も考えずボーっとしたり、または何かを一心に考えたりできそうだけど、意外と、常に地図と道標に気ををつけていないと、すぐ道に迷ってしまうので、神経を使う。

だから道連れがいるのは助かるけど、今度はいつのまにか頼りにしてしまって、「ただぼんやりついてくだけ」の感じになってしまって、いかんと思う。

まあ、どれがいいとか悪いとかいうことはなく、その時々で、そのシュチュエーションを楽しめばいいんだよね。


今日の夕食
12:00 就寝
(本日の歩行距離:23km)
>>5日目に続く

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